公開日: 2023年6月16日
深い噛み合わせ(過蓋咬合・ディープバイト)のリスクや治療方法を解説
噛み合わせが深いことが気になる方はとても多くいらっしゃると思います。なぜそうなるのか、そのままにしておくとどうなるのか、治療した場合の費用やリスクは？など、気になるところです。今回は、噛み合わせが深いことについて深堀っていきます。
＼どんな治療内容？料金はいくらかかる？こちらを要チェック！／
深い噛み合わせ(過蓋咬合・ディープバイト)とはどんな症状？
奥歯を嚙んだ際、下の前歯が見えない、もしくは下の前歯で上の歯の裏側の歯茎を噛むといった症状を過蓋咬合（かがいこうごう）と言います。これは出っ歯（上顎前突症）や八重歯を併発する可能性があります。見た目からはそれほど問題はないですが、放置しておくと、後々、さまざまな症状を誘発する可能性を秘めています。
深い噛み合わせ(過蓋咬合・ディープバイト)の原因
過蓋咬合になるには、さまざまな原因が考えられます。
遺伝的な要素
歯の位置や傾きが異常だったり、上顎と下顎の成長が均等に進まず、上顎が大きく、下顎が小さいという大きさやバランスが悪さがみられることや、前歯が伸びすぎていたり、奥歯が成長せずに伸びていないため、高さが足りていないことなどがあげられます。
奥歯を失った
虫歯治療等で奥歯を失い、放置したために噛み合わせが悪くなることで過蓋咬合になるケースがあります。
生活習慣の影響
頬杖をつくことが多いと過蓋咬合になる場合があります。そして主に幼少期に、歯を噛みしめる癖があったり、指しゃぶりが続いていくことが原因になります。
子どもがかかる場合の原因
子どもが過蓋咬合になるのは、上顎に対し下顎が後方にあることで下の前歯が伸びてしまう場合や、奥歯の乳歯を失い、その影響で噛む力に耐えられず奥歯が沈んだり、伸びてこなかった場合が原因と考えられます。
深い噛み合わせ(過蓋咬合・ディープバイト)を放置しておくリスク
過蓋咬合は、さまざまなリスクを誘発します。それらを確認していきましょう。
見た目が悪い
過蓋咬合になると、上の前歯が大きく見えるようになり、下の前歯がほぼ見えなくなることもあります。また、上の前歯の歯茎がよく見えるガミースマイルになることがあります。
顎関節症の原因になる
歯の接触が著しいことにより、下顎の動きに制限がかかります。長期間にかけてこの状態が続いていくと、顎関節に慢性的な負担がかかり、口が開けづらくなったり、閉じづらくもなったり、顎を動かす際に、違和感のある音が鳴ったりなどの症状が出て、顎関節症になる可能性も出てきます。
虫歯・歯周病を起こす
前歯が全面に出ることで、前歯が空気に触れる機会が増えてきます。そうすると口内が乾燥して、虫歯だけでなく歯周病のリスクが増えていきます。
出っ歯になる
下の前歯が上の前歯に食い込むように当たるため、上の前歯が前に押されるように出っ歯になっていくようになります。
ガミースマイルになりやすい
過蓋咬合は、上の前歯が下の前歯を覆い被すため、笑うと歯茎が見えるガミースマイルになりやすいです。審美性の観点からコンプレックスを持つ方が多いです。ガミースマイルは、過蓋咬合以外にも、歯茎、唇、筋肉が要因となってもおきますが、歯並びや噛み合わせが原因の場合、過蓋咬合を治療することで改善されやすいです。
食べ物を咀嚼しにくい
噛み合わせが悪いため、食事の際、咀嚼しにくく、胃腸への負担も通常よりは大きくなります。咀嚼が少ないため、唾液の分泌も活発でなくなり、口内の殺菌効果も減るため虫歯の注意も必要となってきます。
歯が欠けるリスクがある
過蓋咬合の場合、上下の前歯の隙間が狭くなります。歯に力が入ることがあると、奥歯にも負担がかかり、自身の歯が摩耗していったり、人工の歯も欠けたり外れたりするリスクがあります。
口の中を傷つけやすい
噛み合わせが悪いことにより、一部の歯は口内の肉に接触し、切ったり刺さったりして傷つけることがあります。
歯の被せ物が壊れやすい
噛み込みが深いため、歯に強い力が入ります。その結果、虫歯等の治療の際、装着した詰め物や被せ物が壊れたり、外れてしまうことがあります。
中高年で起きるリスク
過蓋咬合は他の不正咬合に比べ、最も歯を失いやすく、しかも失った場合に最も修復が難しい症状です。入れ歯が合わないケースが多く、肩こりや、早朝時に顎のだるさを感じることも多くあります。奥歯の負担が大きく、年齢を重ねていくと歯が抜けるリスクが高まります。
そして歯が抜けた場合でもインプラントや入れ歯を施すのが困難になります。そのほか、体のバランスが乱れ、自律神経失調症などを引き起こしたり、歯ぎしりがうまく出来なくなるので肩こりが激しくなる、そして、口内の粘膜が弱ってくると口内炎になりやすくもなります。
＼どんな治療内容？料金はいくらかかる？こちらを要チェック！／
深い噛み合わせ(過蓋咬合・ディープバイト)の治療法
大人の矯正治療
主な矯正治療法です
⓵ワイヤー矯正
ブラケットという金属やセラミック、プラスチック製の矯正に使用する器具を使用します。歯1つ1つの表面や裏側に装着します。
そこにワイヤーを通し、歯並びを矯正する治療法です。マウスピースだと噛み合わせや歯並びが乱れていると使用できないのに対し、ブラケットの場合は、歯の面に自由に装着できるのが利点です。
完成された歯並びにしたい人や、ワイヤーなどが目立つことを気にならない方は、金属アレルギーのない人などはワイヤー矯正が向いています。
②マウスピース矯正
「マウスピース」による矯正は、透明なマウスピースを歯に装着して治療する方法です。マウスピースは、自身で着脱可能で、いつでも外して洗うことができるので、口内もマウスピースも常に清潔な状態を保ちながら治療できます。食事時は、外して食べられるため楽しく食事できます。
透明なため、あまり目立たないのが最大のメリットですで、目立たないように治療したい人や、矯正中もスポーツや楽器演奏を求める人、そして金属アレルギーのにおすすめの方法となります。
子供の矯正治療
※子どもの矯正治療のタイミングについて
まずは6歳児くらいで、奥歯の位置のチェックを行ないます。その時、奥歯の位置に問題がなければ、何も行なう必要がありません。ただ、上の奥歯が下の奥歯より前方にある場合は、奥歯の調整が必要になる場合があります。
調整を行なうと、永久歯が生えてきた際、矯正治療を行なうことがあった時、抜歯の可能性が低くなります。9~11歳児は、乳歯と永久歯が入り混じる時期になります。矯正治療が必要な場合、タイミングをみて治療を行ないます。
治療を開始して約2年で永久歯が生えそろって矯正期間が終了するように矯正の計画を作成、実施していきます。永久歯が生え終えたら、歯と顎の大きさを調べ、治療するかを検討します。
⓵ワイヤー矯正
主な矯正法ではバイオネーターというワイヤーとプラスチック床でできている装置を使用する方法があります。
就寝時に装着し、下顎を前方へ成長するように導き、骨格的なバランスを整えながら、奥歯を最適な位置にまで伸ばすことによって、正常な前歯の重なり合う状態にします。通学時には装着しないので、矯正していることを気づかれることがありません。
②顎額面矯正
顎額面矯正は、正常な顎の発達を促進し、歯並びが正常になるようにしていきます。歯並びが悪くなる原因となる一因である上顎の発育不足を修正していきます。
この矯正法では「急速拡大装置」という固定式の装置を使用します。この装置は、歯並びの内側を固定するものです。中央部にねじが組み込まれていて、 1日1回ねじを回すことで、少しずつ骨格を広げていきます。上顎を広げ、骨格が広がることで、歯並びも正常になっていきます。
それは虫歯や歯周病にもなりにくくなる可能性も広がってきます。装置は歯の内側に装着するため、前からは見えません。
③マウスピース矯正（インビザラインファースト）
マウスピース矯正、インビザラインファーストは、顎の拡大と歯を正常な位置へと誘導することを同時に行ないます。
小児矯正の目的は、顎を広げて歯並びがきれいになる土台を作ってあげること、永久歯が生えてくるための環境づくりです。マウスピースを1日20時間以上装着し、2週間ごとを目安にマウスピースを交換していくことで、正常な歯並びになるように修正していきます。
マウスピースは透明なため、装着していることが気づかれにくいです。そして、簡単に着脱できるため、食事時に取り外しができるので、楽しく食べることができます。
衛生的にも優れており、歯磨き時も取り外せるので、普段マウスピースを嵌めている部位も綺麗にブラッシングできるため、虫歯や歯周病を引き起こす心配が少なく、マウスピース自体もこまめに洗浄できる利点があります。金属を使用しないため、金属アレルギーの方も安心して使用できます。
深い噛み合わせ(過蓋咬合・ディープバイト)の治療費用や期間
⓵マルチブラケットを使用したワイヤー矯正の場合、治療費用は約100万円要り、治療期間は約2年ほどかかります。
②バイオネーターを使用した矯正の場合、治療費用は約45万円要り、治療期間は約2年ほど要します。
③顎顔面矯正の場合、治療費用は約38万円ほど要します。
④インビザラインファーストの場合、治療費用は約55万円ほどになります。
※治療費用や治療期間はあくまで目安です。さまざまなケースにより異なってきます。
深い噛み合わせ(過蓋咬合・ディープバイト)の矯正治療の副作用
⓵マルチブラケットを使用したワイヤー矯正では、常時、歯に器具を装着しているため、歯磨きがしにくくなります。場所によっては歯ブラシが届きにくいところもでてくるため、ブラシ先が小さい物なども使用しながらこまめなブラッシングが必要です。
場合によっては、虫歯や歯周病の原因になります。定期的なメンテナンスを受けることも大事です。見た目でワイヤーの装着がわかるので、審美性は低くなります。
そして、金属を装着するので、金属アレルギーの方には不向きともいえます。その他、歯を動かすことで歯根が吸収して短くなったり、歯茎が痩せてさがることがありますし、治療中、口が開けずらい、顎が痛いなど顎関節症の症状が出る、装置を外した後、現在の噛み合わせに合った状態のかぶせ物や虫歯の治療などをやりなおす場合があります。
②マウスピース矯正では、歯の移動に伴い違和感を感じることがあります。頬や唇と接触する場合があり、痛みを感じる恐れがあります。
矯正治療中に歯が欠損したり、削れることもあり、その場合は、装置を作り直す必要がでてきます。矯正が終了しても、その後、後戻りする可能性があるので、保定装置を着用し、後戻りを抑制します。
深い噛み合わせ(過蓋咬合・ディープバイト)のよくある質問
過蓋咬合に関して、原因や治療法以外にさまざまな疑問点があると思います。主な疑問への回答を調べてみました。
過蓋咬合にならない予防策は？
子どもが笑った際、下の前歯が見えない時はないでしょうか？それは歯に関する注意信号です。放置しておくと、上の前歯が伸び、ガミースマイルといわれる状態になりかねません。
伸びだした前歯を抑えるにはマルチブラケットを使用するワイヤー矯正を使用しても時間がかかり、場合によっては歯茎を切るという手段も必要となります。
また食べる物を食べるたびに下顎が後ろに向かっていくため、前方への成長も阻害されるため、顎関節に負担がかかり、痛みが伴ったりします。このようにならないよう、歯科医院への相談は一番の予防策です。
深い噛み合わせ(過蓋咬合・ディープバイト)の矯正治療は健康保険は適用される？
過蓋咬合に関する矯正治療は、ほとんどの場合、自由診療に該当するため健康保険は適用されません。ただ、過蓋咬合になった原因が、外科手術を必要とする顎の変形や、厚生労働大臣によって定められた59点の先天性の病気に該当すれば保険適用を受けられる場合があります。
適用される場合の治療費は、一般的な矯正では約25万円、顎の手術が必要な場合では約25~40万円が目安となっています。
深い噛み合わせ(過蓋咬合・ディープバイト)は自力で治せる？
歯科医院での治療法をみてきましたが、多額の費用がかかり、治療期間も長期間に及びます。そこで、自力で治せないか？という気持ちも出てくるかと思います。よくSNSなどで割りばしや輪ゴムで矯正できるという意見も散見されますが、答えは「No」です。
自力で治すにはさまざまなリスクが潜んでいます。歯並びを良くするどころか、悪くなったり、歯や骨にダメージを与え歯の寿命を縮めてしまったり、歯が抜け落ちる、そして歯だけにとどまらず、肩こりや頭痛を引き起こす可能性すらあります。
過蓋咬合を治療するには、高度な知識と技術が必要となってくるので、歯科医院に受診することが大事です。
まとめ
深い噛み合わせになる原因や放置するリスク、そして治療方法などをみてきました。原因は遺伝的な要素や、日常的に行なう癖などがあげられました。
放置しておくとさまざまな症状を引き起こすことがあり、治療法は多岐に渡ります。特に幼少期から注意しておけば長期的に改善に向かう治療法が多く、改善に向かいやすい点は目に止まります。
過蓋咬合の治療をしたいのであればぜひ、WITH DENTAL CLINICへ相談してみましょう。無料カウンセリング予約も受け付けているので、希望に合った施術を受けることができます。まずはホームページを見て、どのような施術が受けられるのかを確認してみてください。
＼どんな治療内容？料金はいくらかかる？こちらを要チェック！／
WEBで予約
LINE相談