公開日: 2023年3月29日
インプラント治療は、ブリッジや入れ歯と違い、まるで自分の歯で咬んでいるような感覚があるメリットの多い治療です。
しかし、ブリッジや入れ歯とは違い、人工物を顎の骨の中に埋め込んだり手術が必要なため、リスクが多いのも事実。
本記事では、
を解説します。
また、記事の後半では、インプラントの失敗リスクを下げる大事な要因である歯医者選びのポイントも解説しています。
インプラント治療をする歯科医院選びに悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
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インプラント治療を受ける前には、インプラント手術前および手術後のリスクを十分に理解した上で施術を受けるようにしましょう。
インプラント治療は誰でも受けられる万能な治療ではありません。条件によっては、インプラント治療がリスクになる場合もあります。
以下、インプラント手術前にリスクになるケースを解説します。
重度の糖尿病、心疾患、肝臓や腎臓に持病がある人はインプラント治療のリスクが高くなります。
薬によるコントロールがされていない糖尿病の場合、高血糖が原因で血流が悪くなります。すると、傷の治りは遅く、細菌に打ち勝つ力が弱くなってしまうのです。
また、心臓疾患や脳梗塞の既往がある人は、血液サラサラの薬を飲んでいることが多いです。そのため、インプラント手術のときに血が止まりづらい可能性が高くなります。
そして、腎臓病の方の場合、糖尿病と同じく細菌に打ち勝つ力が弱いのが特徴です。すると、インプラント手術後の歯周病が悪化や、インプラント周りの組織が歯周病になる可能性が高くなります。
また、骨の質が柔らかいため、インプラントを支えられない可能性もあります。
特に高度の腎不全、透析患者さんはインプラント治療が禁忌です。
上記のような持病があり、インプラント治療を希望する場合は
などをして、インプラント治療の可否を判断してもらいましょう。
特に、チタンアレルギーがある人はリスクが高いと言われています。
なぜなら、顎の骨の中に埋め込むインプラント本体は、一般的にチタン製が多く用いられているからです。
とはいえ、チタンは医科領域の人工関節や心臓ペースメーカーにも多く用いられている人体と親和性の高い金属。したがって、金属アレルギーがある人でも使用できる可能性が高いでしょう。
もし不安な場合は、事前に皮膚科でパッチテストをしたり、金属フリーのジルコニアインプラントを使用することを検討してみるのもリスクを軽減する方法の1つです。
インプラント本体は、支える骨がないと抜け落ちてしまいます。
インプラントは顎の骨の中にインプラント本体を埋め込む治療です。そのため、土台となる顎の骨がないと治療ができません。
例えば、歯が抜けて長期間放置している場合、その部分の骨の吸収が進んでいる可能性が高いです。しかし、骨のない状態のままではインプラント治療はできません。
顎の骨の高さや、幅が不足している場合、インプラント本体を埋め込むことができる土台を作るために骨の量を増やす治療が必要になります。
タバコを吸う人は吸わない人に比べてインプラントの周りの組織に炎症が起きる可能性が高いためリスクがあります。
タバコに含まれるニコチンとタールが人体の免疫機能を悪化させます。そのため、細菌に打ち勝つ力が弱まりインプラント治療後に歯周病になりやすくなるのです。
次に、インプラント手術後に考えられるリスクについて3つ解説します。
まれに、インプラントと支えるべき骨が結合しないことがあります。
原因として、歯周病による細菌感染、糖尿病、喫煙、骨密度の低さが考えられます。
特に前歯では、インプラント治療をするのに必要な歯ぐきの幅がないと、歯ぐきが退縮するリスクが高まります。
歯ぐきが退縮すると、まるで歯が伸びたようになり見た目がよくありません。
インプラントの周りには、角化歯肉という動かない健康な歯ぐきが必要です。しかし、角化歯肉の量が少ないと、インプラント治療後の口の動きによって歯ぐきが引っ張られ、歯ぐきが退縮するリスクがあるのです。
インプラント周囲炎とは、インプラントの周りの骨や歯ぐきが炎症を起こすことです。重度になると、インプラントを支える骨が溶けていき、抜け落ちる原因にもなります。
インプラント周囲炎のリスクを高める原因は、術後のメンテナンス不足、糖尿病の悪化、喫煙が考えられます。
術後のインプラント周囲炎のリスクを低くするためにも、術前の対策が必要です。
インプラント治療でよくある失敗や、後悔例にはどのようなものがあるのでしょうか?
手術の失敗、術後の失敗、歯科医師選びの失敗にポイントを当てて解説していきます。
インプラント手術の失敗としてよくあるのが、以下2点です。
インプラントと骨の結合不足の原因は、患者側と術者側どちらの場合も考えられます。
例えば患者側の原因には、糖尿病の管理不足や、医師から禁煙指示があったにも関わらず喫煙していたことがあげられるでしょう。
また、術者側の原因には、的確な力で顎の骨にインプラントを埋め込めなかったというミスも考えられます。
インプラントの埋め込み位置が適切でなかった場合、反対側の歯とかみ合わず咬合が崩壊するリスクもあります。
インプラントの埋め込み位置の失敗は、歯科医師の準備不足および技術不足が考えられます。
インプラント術後の失敗・後悔には、以下3点が考えられます。
インプラントは外科手術なので、ある程度の痛みや腫れが起きるのは失敗ではありません。しかし、数ヵ月たっても痛みが消えない、しびれが長引く場合、埋め込んだインプラントの近くに神経があるとも考えられます。
また、インプラント周囲炎が悪化し脱落する失敗の原因は、患者側に責任がある場合が多いです。例えば、歯科医師に指示された日にメンテナンスに来なかった、禁煙指示があったのに喫煙した、糖尿病の管理を怠っていたなどがあります。
そして、被せ物が壊れる原因には、歯ぎしり、かみ合わせの偏りがあげられます。異常な力により、インプラント部分に負荷がかかると被せ物が壊れやすくなります。
インプラント治療が広まったからこそ、歯科医師選びはとても大事です。
よくある歯科医師選びの後悔として
があげられます。
技術や経験の不足は、予期しない事態が起きたときに非常に困ります。例えば、手術中に血管を傷つけ多量に出血した場合、血を止める技術や経験がないと、瞬時に手がうてません。
虫歯や歯周病の治療に優れた力を発揮していても、インプラントの技術や知識が豊富とは限りません。
また、インプラント治療前の説明が不十分だと感じた場合は、セカンドオピニオンを使い、他の先生の意見も聞くようにしましょう。
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インプラントは、見た目もキレイで、まるで自分の歯のように噛めるため人気が高い治療です。
しかし、インプラント治療の注意点を知っておかなければ、あとから後悔することになります。最低限知っておきたい注意点を解説します。
インプラント治療はブリッジや入れ歯の治療と違い保険適応外、つまり自費治療になります。
インプラントの平均相場は20万円~30万円(税抜き)であるため、決して安い金額ではありません。
インプラント治療は、インプラント体と呼ばれるインプラント本体を顎の骨の中に埋め込む手術です。
ドリルで顎の骨に穴をあけてスペースを作り、そこへインプラント体を埋め込んでいきます。
なので、必ず外科手術が必要になります。ブリッジや入れ歯は、歯を削るだけなので、手術が必要であることはインプラント治療の特徴といえます。
インプラントは、手術が終わったら治療終了ではありません。
一番重要なのは、定期的なメンテナンスを受けることです。
インプラントは人工物ですが、周りの歯ぐきや骨は自分のものです。そのため、日常的な歯ブラシでは落ちづらい汚れが必ず付着します。
メンテナンスでは、インプラント周りの汚れを中心に口の中すべての汚れを専用の器具で落としていきます。もし、メンテナンスに来なくなると汚れは蓄積し、最悪の場合インプラントの脱落原因にもなり得ます。
インプラント手術の危険性はゼロではありません。
例えば、インプラント手術中に考えられる危険性として以下のものが考えられます。
どんなに熟練の歯科医師でも、人為的ミスをゼロにはできません。
だからこそ、歯医者選びが大切になるのです。
インプラント手術の失敗確率は約10%以内でしょう。
根拠として、厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業 歯科インプラント治療のためのQ&A」によると、「システマティックレビュー等を参考にしたところでは部分および全部欠損症例における 10~15 年の累積生存率は上顎で約 90%程度、下顎で 94%程度である。」とあります。
よって、インプラントの成功確率は約90%以上と考えられるため、失敗確率は約10%以内と思われます。
引用:厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業 歯科インプラント治療のためのQ&A」
失敗確率をあげる原因には以下4点があげられます。
上記をしっかり守り、経験豊富な歯科医師の元で治療を行なえば、失敗確率はより低くなるでしょう。
インプラン治療の操作が簡易的になり、技術的なハードルが下がっている昨今だからこそ、歯医者選びは非常に大切です。
自分の口の健康を守るために、後悔しない歯医者選びを覚えておきましょう。
インプラント治療だけでなく、歯科治療を受ける際、歯科医師のコミュニケーション能力は非常に重要です。
特に、以下のポイントを説明できない歯医者は要注意です。
また、患者の不安に寄り添ってくれるか、誠実に対応してくれるかも重要なポイントでしょう。
インプラント治療は、インプラントを埋め込んで終了ではありません。長く付き合える歯医者を選ぶことがインプラント治療成功へ導くともいえます。
近年、格安インプラント治療を謳う歯科医院が増えてきました。
たしかに、費用面では高額な治療費を抑えられるのでメリットはあるでしょう。しかし、相場よりも明らかに安すぎるインプラント治療は必要な部分にお金をかけていない可能性があります。
インプラント治療に含まれる費用内訳は以下のようなものです。
他にも、患者さんの口の中の状態によって必要な材料費用が含まれることもあります。これらの費用は安全にインプラント治療をするために必要なものです。
また、インプラント治療費を下げるために、安いインプラント本体を使用する歯医者もあります。
平均価格帯のインプラントは多くの臨床試験の元、機能性が高められた安全が確率されているインプラントです。
身体の中に入れるものだからこそ、高品質のインプラントを使用している歯医者を選ぶことがインプラント失敗のリスクを下げることにもつながるでしょう。
インプラント治療における十分な設備とは、以下の通りです。
インプラント治療において、歯や神経、顎周囲の解剖学的位置関係を正確に把握することは重要です。歯全体をうつす写真であるパノラマ写真は、二次元的な位置関係しかわからないため、インプラント治療をするには不十分です。
インプラントの的確な埋め込み位置や、深さを事前に診断するには歯科用CTは必須条件になります。
また、インプラントは外科手術であるため、細菌感染を防ぐ専用の手術室があることが望ましいでしょう。少なくとも、隣で歯を削る治療を行っている横でインプラント治療をするような環境は、感染の面からも避けることが望ましいです。
インプラント治療は高度なスキルが求められる治療であるため、豊富な経験と知識が必要です。
例えば、歯医者のホームページにインプラント実績が記載されているかどうかは、1つの判断材料になるでしょう。
また、口腔インプラント学会認定の指導医や専門医がいる病院はインプラント治療レベルが高いと判断してよいでしょう。
口腔インプラント学会の資格は、インプラント治療の経験や実績が豊富であることを客観的に示す資格になります。しかし、資格をもっていても治療の質が保証されるものでもなく、資格がなくても優れたインプラント治療を行う歯科医師も多くいます。
資格やホームページの内容、口コミなど総合的に判断して自分に合う歯科医師を見つけましょう。
今回は、インプラント治療のリスクと、失敗しないために知っておきたい注意点を解説しました。
インプラント治療前、手術中、術後によって知っておくべき注意点が異なります。また、インプラント治療の失敗の原因は、決して歯科医師だけのせいではなく、患者さんにも原因があることも多いです。
事前に十分知識を学んだうえで、インプラント治療に臨めばインプラントの失敗確率を下げるでしょう。
また、歯科医師選びもインプラント治療のリスクを軽減するのに、とても重要なポイントです。口の中の健康を保つためにも自分に合う歯医者選びをしましょう。
WITH DENTAL CLINICでは、インプラント治療のどんな些細なお悩みもお聞きします。無料カウンセリングや無料メール相談を行っておりますので、お気軽にお問合せください。
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