公開日: 2023年3月29日
インプラント治療をしているとMRI検査が受けられない。このような噂を聞いて不安に思う方もいるでしょう。実は、インプラント治療をしているとMRI検査ができないという話は半分嘘で半分本当の話です。
基本的に、歯科用インプラントは問題なくMRI検査ができますが、注意が必要なケースも存在します。
また、心臓ペースメーカーや人工内耳、人工関節もインプラントの1つの種類であり、製品によってはMRI禁忌のものがあります。
今回の記事は
などを、解説します。
記事の後半では、MRI検査を断られてしまった場合の対処法も紹介しています。
インプラント治療とMRI検査の正しい関係性を知り、不安を少なくしていきましょう。
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MRI検査はMagnetic Resonance Imagingの略で、日本語だと磁気共鳴画像診断装置と呼びます。撮影するときは、大きな筒状の機械の中に寝た状態で入り行います。
MRI検査の機械は、見た目が病院で使用されるCTと似ており、区別がつきにくい人もいるでしょう。CTとの違いも含めて解説していきます。
MRI検査とは、治療前に血管などの組織や、病変の有無、治療後の効果判定など、さまざまな目的で用いられる精密画像検査です。
例えば歯科の場合、口腔領域にできた腫瘍性病変の広がり、がんの場合は再発の有無などの精密検査で実施されることが多いです。
MRI検査は、強力な磁石と電波を使って磁場を発生させ撮影します。
少し難しい話になりますが、磁場の空間の中で、強力な電磁波を身体に与えると、身体の中の水分が反応し電磁波を発生させます。
そして、この電磁波を電気信号として受診し、画像化したものがMRI画像になります。
CT検査との違いは以下になります。
イメージ的に、MRI検査は血管や臓器など身体の柔らかい部分を撮影するのに優れています。
反対に、CT検査は歯や骨など硬い部分の撮影が優れています。
また、検査時間はCTの場合は数十分で終わることが多いですが、MRI検査は場合によっては1時間程度かかることも。
MRI検査の時間の長さは身体の水分量が関わっています。MRI検査は、身体の中の水に強力な電磁波を当てて情報を読み取り撮影します。
しかし、人間の体の水分量は70%もあり読み取る情報量が多いため検査時間がかかってしまうのです。
インプラント治療をしているとMRI検査は受けられないという話を聞いたことがあるかと思います。
しかし、ほとんどの場合インプラント治療をしていてもMRI検査を受けることは可能です。インプラント治療後にMRI検査ができる理由を含めて解説していきます。
顎の骨の中に埋め込む歯科インプラントの場合、インプラント治療後でもMRI検査は可能です。
歯科で使用されるインプラントのほとんどはチタン製、またはジルコニア製です。チタンやジルコニアは非磁性体、つまり磁石と反応しないため、MRI検査に影響を及ぼしません。
一般的な歯科インプラントはMRI検査で問題ありませんが、不安な場合検査を受ける前に、歯科医師に確認しましょう。
後述しますが、医療用インプラントの場合、種類や使用年代によってMRI検査禁忌のものがあります。
例えば、心臓ペースメーカーや人工内耳など磁性の金属を用いた医療用インプラントの場合は、MRI検査できないため事前確認が必要です。
本来インプラントの意味とは、体に埋め込む人工材料のことを指します。
よって、歯科用インプラントも医科用インプラントもすべて一緒の概念で説明されることが多いため、インプラントしているとMRI検査が受けられないという話が出てくるのです。
基本的に、インプラント治療はMRI検査ができると解説しました。
しかし、なぜインプラント治療をするとMRI検査ができないと言われているのでしょうか。理由を含めて説明します。
体の中に入れるインプラントの種類の中には、MRI検査できないものがあります。
先述しましたが、一般的に、体の中に人工の材料や部品を入れる治療を総称してインプラントと呼びます。
例えば、以下のようなものもインプラントです。
上記のインプラントの中で、心臓ペースメーカーや人工内耳などはMRI検査ができない可能性が高いです。
顎の骨の中以外に、人工の材料や部品を入れた治療経験がある人は、MRI検査を受ける場合放射線技師か担当医師に相談するようにしましょう。
歯科領域のインプラント、いわゆるデンタルインプラントの中にもMRI検査禁忌のものがあります。
例えば、歯科インプラントと磁石を利用して入れ歯を固定するマグネット方式の入れ歯の場合、装着した状態でMRI検査することはできません。
入れ歯および口の中に磁性の金属があるため、MRI検査をするときには外したり、部品を取ったりするなど事前準備が必要です。
外し忘れなど、金属が入った状態でMRI検査を行うと、金属周囲の発熱や、それに伴う火傷などが生じる可能性があり非常に危険です。
実際、厚生労働省「医療事故情報収集等事業 第 33 回報告書」によるとマグネット式インプラントによる、事例報告があります。
MRI検査時にインプラントの磁石を利用して入れ歯を固定する磁性アタッチメント構造の義
引用:厚生労働省「医療事故情報収集等事業 第33回報告書」
歯を外さずに検査を実施した。2~3日後に患者が義歯に違和感を覚えたが、しばらく放置後(期
間不明)インプラントを装着した歯科医院を受診(日時不明)したところ、義歯の磁力が抜けて
いるのを指摘された。
上記の場合、幸いにも身体的な影響はありませんでしたが、注意が必要です。
MRI検査は磁力と関係する金属が体内にあった場合検査ができません。歯科インプラントとマグネットを利用した入れ歯には十分に注意しましょう。
自分や家族が歯医者でインプラントをした場合は、将来的なMRI検査のことを想定し、家族で情報を共有するのも重要だと考えられます。
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インプラント治療後のMRI検査に注意が必要なケースは、磁力をもつ材料を体内に入れている場合です。以下注意が必要ケースを紹介します。
インプラントオーバーデンチャーやインプラント義歯と呼ばれる、インプラントとマグネットを使った入れ歯を使用している場合、MRI検査のときに注意が必要です。
インプラントオーバーデンチャーとは、インプラントを用いた入れ歯のことで、一般的な入れ歯よりも安定性に優れています。治療法は、外科手術で、顎の骨の中に数本のインプラントを埋め込み入れ歯を固定します。
インプラントオーバーデンチャーは固定するために、固定源としてバー状の部品を用いるもの、ボール状の部品を用いるもの、磁石を用いるものがあります。
磁石を用いるものは、構造的に入れ歯側に磁石、自分の口の中には磁性金属を装着し作成していきます。そのため、MRI検査の画像がうまく撮影できなかったり、入れ歯自体の故障を招く可能性があるため注意が必要です。
固定式の入れ歯を使っている人は、MRI検査前に歯科医師に確認をとりましょう。
歯科に使われるインプラント以外にも、足や耳、心臓、美容などに使われる医療用インプラントがあります。
医療用に使用されるインプラントの素材は様々であり、また、使用した医療用インプラントの年代によってMRI検査が受けられないものも存在します。
MRI検査禁忌の金属の場合、確認しないまま検査をすると、インプラント部位の発熱や、それに伴う火傷など医療事故につながる可能性があります。
過去に、医療用インプラントの治療をした経験がある人は、MRI検査前に放射線技師に相談するか医師に確認するようにしましょう。
インプラント治療後のMRI検査には注意が必要なケースがありました。同じ画像撮影のCT検査は問題ないのか解説していきます。
結論からいうと、インプラント治療後のCT検査は問題ありません。
MRI検査が磁場の力で撮影する検査なのに対し、CT検査はエックス線を用いて撮影する検査だからです。
歯科医院にいくと、数本の歯を検査するデンタル写真や、口腔内全体を検査するパノラマ写真を撮影するかと思います。
CT検査は上記のようなデンタル写真や、パノラマ写真と同じくエックス線を使用しているため、磁力の影響をうけません。よって、MRI検査で起こり得るような金属による発熱や火傷など、人体に影響を及ぼすこともありません。
しかしながら、チタン製のインプラントの場合、チタンが反射する影響で、撮影後の画像にアーチファクトと呼ばれる筋状の線がでることがあります。
よって、頭部のCT検査をするとき、インプラントの反射が画像診断の妨げになることもあり得ます。もし気になる人は、非金属製のジルコニアインプラントを選択するのも1つの手かもしれません。
インプラント治療後のCT検査は基本的に問題ありません。
しかし、多くの本数インプラント治療をした人は、頭部のCT検査をしたときに画像が不明瞭になる可能性もあることを覚えておきましょう。
インプラントがMRIにおよぼす影響には、人体への影響とMRI撮影画像への影響の2つがあります。どのような影響があり得るのかしっかり確認しておきましょう。
人体への影響には、金属部分の発熱および火傷があります。
一般的にインプラントの材料に用いられるチタンやジルコニアは、MRI検査で問題なく撮影可能です。しかし、インプラントの種類の中にはチタンやジルコニア以外の金属が使用されている場合も考えられます。
特に、相場よりも安すぎるインプラントを使用している場合、MRI撮影に影響のある金属を使用している可能性もあるため注意が必要です。もちろん、可能性があるだけの話なので一概には言えませんが、インプラント治療後のライフスタイル等を考慮し慎重に検討した方が望ましいでしょう。
また、インプラント治療を行う前には、どのようなインプラントを使用するのか、安全性は確立されているのかなど、歯科医師から十分に説明を聞いたうえで治療に臨みましょう。
万が一、磁力が発生するインプラントを使用していた場合、強い磁場の影響で金属部分が発熱し、火傷をする可能性があります。
MRI検査を受ける際は、事前にインプラント治療を行なった歯科医師に確認することが大切です。
MRI撮影画像への影響として、画像の乱れが考えられます。
MRI撮影は強力な磁気を利用して撮影する方法です。
撮影の時に、磁力をもつ金属が体内に存在すると、MRI検査装置内の磁石と金属が反応して画像の一部にアーチファクトという画像の乱れが生じます。すると、適切な画像診断が行なえなくなるのです。
また、金属の影響が強いと、最悪の場合MRI装置自体の故障を招く可能性もあります。
人体側および、撮影画像側どちらの影響も、重大な医療事故を招く可能性があります。MRI検査を受ける前には、自分が使用しているインプラント材料を確認し、インプラント治療前の人は相場に応じた、一般的なインプラントメーカーを使用する歯科医師の元で治療をうけるようにしましょう。
MRI検査をする医療機関から、インプラントが入っていたら検査はできない、と断られた場合の対処方法を解説します。
まず、インプラント治療を行なった歯科医院を受診し、歯科医師に相談しましょう。
磁石を固定源に使用したインプラントオーバーデンチャーのように、磁気が口の中にある場合は歯科医師に部品を外してもらえば撮影可能になります。
まれに、インプラントというと医療インプラントを含めた材料全てと思い込んでいる医療従事者もいらっしゃいます。
その場合は、口の中のインプラントはチタン製です。
と申し出るか、口の中にあるインプラントの使用金属がわかる資料をもっていくと良いでしょう。
基本的に、歯科用インプラントの場合、インプラント全体を取り外すことなくMRI撮影を受けることができます。医療機関でMRI撮影を断られた場合は、担当の歯科医師に相談し対処するようにしましょう。
今回は、インプラント治療後にMRI検査ができるのか、安全性や影響も含め解説しました。
一般的な歯科用インプラントの場合、チタン製やジルコニア製の磁性をもたない材料のため、MRI検査ができます。
ただし、歯科用インプラントの中でも、インプラントオーバーデンチャーとよばれる入れ歯、つまり、磁石を固定源にもちいた義歯の場合は注意が必要です。
そのままMRI撮影をしてしまうと、磁石周囲の発熱や火傷、MRI撮影画像にアーチファクトとよばれる画像の乱れが生じ、画像診断の妨げになる可能性もあります。
また、心臓ペースメーカーや整形外科領域、美容目的で体内に医療用インプラントをいれているときも事前に医師に確認するようにしましょう。
歯科用インプラントが口の中にある場合は、MRI撮影の前に担当歯科医師に相談し、安全に撮影するのが望ましいです。
歯科用インプラントを治療する前の人で、相場より安すぎるインプラントを選ぶときは、MRI撮影に影響のない材料を使用しているかどうかも含め、十分に説明を聞いておきましょう。
当院では、インプラント治療に関する相談をカウンセリングおよびメールにて無料で承っております。
もし、気になることや不安なことがございましたらお気軽にお問い合わせください。
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