公開日: 2023年3月28日
高額になりがちというイメージの歯科矯正ですが、「医療費控除」を使うことで治療費の負担を軽減することが可能です。
「医療費控除の名前は知っているけど、歯科矯正で適応されるの?」
「医療費控除を申請すると、どれくらい節税できるの?」
このような疑問をお持ちの方は多いかと思います。税金の話ってむずかしいですよね。
そこで今回は、歯科矯正で医療費控除が適応される条件や、税金がいくら戻ってくるのかまで、徹底的に解説していきます。
税金の知識がない方でもわかりやすい内容です。ぜひ最後までご覧ください。
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医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得控除を受けられる制度です。
所得控除を受けると課税所得(税金を計算するための金額)が下がるため、所得税と住民税を節税することができます。
歯科矯正では、特殊な一部の場合をのぞいて「自由診療(自費診療)」となるため、治療費が全額自己負担となります。このため治療費が高額になりがち……。
ですが、医療費控除を利用することで、矯正費用の負担を軽減することが可能です。
子ども(高校3年生まで)の歯科矯正は、今後の発育や健康上の問題を改善するための治療である場合が多く、医療費控除の対象となります。
大人の矯正治療の場合、かみ合わせや咀嚼(そしゃく)機能の改善が目的であれば医療費控除の対象となります。
一方、審美目的(歯並びの見た目をよくする目的)の場合は、基本的に医療費控除の対象外です。
参考No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例|国税庁 (nta.go.jp)
医療費控除について | おおうち 矯正歯科・小児歯科 クリニック (ouchi-dental.com)
税金の医療費控除を受けるには、どうすればよいですか?|治療期間・費用(成人):よくある質問・何でも相談室:矯正歯科治療のお話|矯正歯科専門の開業医団体「日本臨床矯正歯科医会」 (jpao.jp)
治療費以外にも、つぎの費用が控除の対象となります。申請もれのないようにしましょう。
ただし、自家用車で通院した際のガソリン代、駐車場代は対象外となる点に注意が必要です。
また、市販薬の控除制度として、「セルフメディケーション税制」がありますが、医療費控除との併用はできません。このため、市販薬を購入した金額は、医療費控除額の対象外となります。
つぎのような場合は、医療費控除の対象外となります。
治療費のどこまでが控除の対象となるのかは、各歯科医院もしくはお近くの税務署までお問い合わせください。
医療費控除を申請することで、実際どれくらい節税効果があるのでしょうか?控除額の計算方法とあわせて、具体例を見ていきましょう。
医療費控除額はつぎの式で計算します。
[医療費控除額]=[1年間に支払った医療費]-[保険金などで補填される金額]-[10万円(所得200万円未満の方は総所得の5%)]
歯科矯正などで払った1年間の医療費の総額から保険金などで補填された金額を引き、さらに10万円(所得が200万円未満の方は総所得の5%)を引いたものが、医療費控除額となります。
還付金として戻ってくる金額の目安は、医療費控除額に所得税と住民税の税率をかけることで計算できます。
所得税率は、年収が上がるにつれて高くなりますが(累進課税)、住民税は全国一律10%です。
[還付金額]=[医療費控除額]×([所得税率]+[住民税率10%])
所得税の速算表
課税される所得金額 | 税率 |
---|---|
1,000~194万9,000円 | 5% |
195万~329万9,000円 | 10% |
330万~649万9,000円 | 20% |
695万~899万9,000円 | 23% |
900万~1,799万9,000円 | 33% |
1,800万~3,999万9,000円 | 40% |
4,000万円以上 | 45% |
所得とは、収入から経費を差し引いた金額のことです。サラリーマンの方は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」に記載された額になります。
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例1)
・500万円(所得400万円):所得税率20%
・年間医療費:100万円
・保険による補填金額:30万円
医療費控除額=100万円-30万円-10万円=60万円 還付金額(目安)=60万円×(20%+10%)=18万円 |
例2)
・年収120万円(所得100万円):所得税率5%
・年間医療費:100万円
・保険による補填金額:30万円
医療費控除額=100万円-30万円-(100万円×5%)=35万円 還付金額(目安)=65万円×(5%+10%)=9万7,500円 |
ふたつの具体例をくらべてみると、同じ医療費、保険金額でも所得によって還付金額が変わることがわかると思います。
自分ではどれくらい節税できるのか、計算してみてください。
参考医療費控除を受ける方へ:令和3年分 確定申告特集 (nta.go.jp)
医療費控除を受けるには、2月16日~3月15日の期間に確定申告を行う必要があります。普段、確定申告をしない会社員の方でも同様です。
必要書類の提出は、税務署に直接持ち込むか郵送する方法のほかに、ネットでの電子申告を選択することもできます。
国税庁のホームページから印刷して記入します。
「1 医療費通知に記載された事項」の(1)の欄に、手元にある「医療通知書(医療費のお知らせ)」に記載されている医療費の金額を記入します。
(2)の欄には、1年間で実際に支払った医療費の合計額を記入します。病院や薬局でもらった領収書などで確認してください。
(3)の欄には、保険や給付金(入院費給付金、出産育児一時金、高額療養費など)で補填された金額を記入します。
「2 医療費(上記1以外)の明細」には、医療通知書に記載されていない医療費などを記入していきます。生計をひとつにする家族の医療費も記載してください。なお、医療費は医療を受けた人、病院ごとにまとめて記入できます。
また、通院や付き添いのための交通費もこの欄に記載します。その際、医療費の区分は「その他の医療費」を選択してください。
出典:国税庁│令和 年度分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書A
国税庁のホームページから印刷して記入します。
確定申告書は2種類ありますが、会社員の方は「確定申告書A」を使用します。「確定申告書B」は、個人事業主などの方が使用するものです。
「所得から差し引かれる金額」の「医療費控除」の欄に、医療費控除の明細書で計算した医療費控除額を転記します。
「区分」という欄がありますが、これは「セルフメディケーション税制」で使用するものです。通常の医療費控除では記入する必要はありません。
医療費控除額のほかに、「収入金額等」の必要箇所は、源泉徴収票をもとに記入してください。
また、還付される税金の受け取り先として、銀行などの口座情報を記載します。
大人の歯科矯正では、医療費控除の対象となることを証明するために、歯科医師からの診断書の提出を求められる場合があります。
診断書の発行にはある程度時間が必要なため、事前に歯科医院にお願いしておくとよいでしょう。
医療費控除を申請する際の注意点を4つご紹介します。
医療費控除は歯科矯正だけが対象となる制度ではありません。かぜなどで病院にかかった際の治療費や薬代なども対象となります。
1年間で歯科矯正以外にかかった医療費についても、一緒に申請してください。
医療費控除は、生計をひとつにする家族の医療費も合算して申請可能です。「生計をひとつにする家族」には、単身赴任している配偶者や一人暮らしをしている子ども(仕送りをしている)などが当てはまります。また、週末に介護をしている親や親族の医療費も対象となる場合があります。
民間の医療保険や給付金(入院費給付金、出産育児一時金、高額療養費など)でお金が入ることがあると思います。この場合、支払った医療費から補填金額を差し引いて、医療費控除額を計算する必要があります。
確定申告の時には、病院や薬局の領収書を添付する必要はありません。しかし、医療費控除を申請した方には、5年間の領収書の保管が義務付けられています。きちんと保管しておいてください。
参考医療費控除を受ける方へ:令和3年分 確定申告特集 (nta.go.jp)
デンタルローンやクレジットカードの分割払いを使用した場合は、客観的な証拠として契約書や明細書を保管しておきましょう。
歯科矯正は基本的に自費診療となるため、治療費が高額となります。医療費控除を活用することで、節税により治療費の負担を軽減することが可能です。
子どもの歯科矯正の場合、問題なく医療費控除の対象となります。しかし、大人の場合は咀嚼(そしゃく)などの機能回復が目的の治療でなければ、医療費控除の対象外となってしまうため注意が必要です。
医療費控除の申請には、確定申告をする必要があります。確定申告には決まった期間(2月16日~3月15日)があるため、申請を希望する方は早めに準備することをおすすめします。
歯科矯正で治療中の方や、これから治療をはじめる方で医療費控除が適応されるか気になった方は、歯科医院や税務署にご相談ください。
『WITH DENTAL CLNIC』では、矯正治療についての無料カウンセリングを実施中です。矯正費用のご相談や、医療費控除に関する疑問にもきちんとお答えします。
歯科矯正をご検討されている方は、お気軽にご相談ください!
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