公開日: 2023年5月1日
「朝起きると、顎が疲れている」
「起きると歯が痛い」
そんな症状があったら夜中の歯ぎしりや食いしばりが原因かもしれません。
また、歯ぎしりの音で目が覚めたり、家族に指摘されることもあるでしょう。
そこで今回は、歯ぎしりの原因や治療法について詳しく解説します。
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歯ぎしりとは、寝ている時だけでなく、無意識の状態の時に上下の歯をギリギリとこすり合わせたり、噛みしめること。
音も「ギリッ、ギリッ」「キリキリ」「カチカチ」…とさまざま。カエルが鳴いていると思ったら、家族の歯ぎしりだったということがあります。
本人は気づいていないので、指摘されて初めて気がつくこともあるでしょうが、音がしにくい「食いしばり」は発見されにくいので厄介です。
歯ぎしりなんてしていないと思っていても、実は日本人の70%の人が歯ぎしりを経験していて、さらにそのほどんどが自覚していないことが分かってきました。
歯ぎしりや食いしばりを「ブラキシズム(口腔内悪習慣)」といい、おおまかに3つに分けられます。
・グラインディング
・クレンチング
・タッピング
ここからは3種類のブラキシズムを詳しく見ていきましょう。
歯ぎしりの中で最もポピュラーな歯ぎしりが「グラインディング」です。
上下の歯を強く噛んだ状態で横に滑らせてすり合わせ「ギリギリ」「キリキリ」と音を立てます。歯にとってはたいへん強いダメージを与える歯ぎしり。
歯が擦り減り、平らになっているのが特徴です。
クレンチングは食いしばりのことです。
上下の歯をぐっと強い力で噛みこむだけで、横にこすり合わせないため、音は出ません。そのため、周囲も気づきませんし、本人も自覚していません。
寝ている時だけでなく、日中も無意識で行っている可能性が高いです。
タッピングは軽く叩くという意味ですから、上下の歯をカスタネットのようにカチカチとならせること。寒さに震える時はカチカチと歯が鳴ります。同じように歯を小刻みにぶつけながら小さな音を出します。
歯ぎしりは3つに分類されますが、いつ歯ぎしりするのかによっても分けることができます。寝ている時の歯ぎしりを「睡眠時ブラキシズム」、起きている時の歯ぎしりを「覚醒時ブラキシズム」といいます。覚醒時ブラキシズムは、要するにその人の持つクセです。
歯ぎしりの原因は大きく分けると3つあります。
もっとも多いのが「ストレス」です。
厚生労働省が5年に1回行っている「労働者健康状況調査」によれば「仕事や職業の環境でストレスを感じている」労働者の割合は、1982年には50.6%でしたが、2012年には60.9%になっています。年代別に見てみると、58.2%(20歳代)、65.2%(30歳代)、64.6%(40歳代)、59.1%(50歳代)、46.9%(60歳以上)。中でも30歳代・40歳代のストレスが高いことがわかりました。(参考:厚生労働省「ストレスの現状」より https://kokoro.mhlw.go.jp/nowhow/nh001/)
日中受けたストレスを溜めこんでしまい、歯ぎしりをしながら発散し、解消していると考えられています。
歯の噛み合わせが悪いと、歯ぎしりが起こりやすくなります。歯の詰め物が原因で、歯ぎしりをするようになることもあります。
噛み合わせは常に変化していて、虫歯の放置や歯周病によっても変わることがあります。本来は当たる面ではない部分が噛み合わさってしまい、そのストレスを歯ぎしりで発散してしまうのです。
人にはさまざまなクセがあります。自分ではほとんど気づいてなく、無意識に行っています。
日中、歯を食いしばるクセがある人は、寝ている時にもそれが現れて歯ぎしりしてしまうのです。
歯ぎしりを放置していると、さまざまな悪影響が起こります。
歯が横に広がってしまうのは、歯ぎしりだけでなく、噛みしめるクセがある人によく見られます。歯を強く噛みしめると、歯が自衛して横に広がっていってしまうのです。
歯ぎしりは、上下の歯を強い力でこすり合わせるため、エナメル質が剥がれて歯の弱い部分がさらされてしまいます。エナメル質が剥がれてしまうと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
歯ぎしりで歯が削られていくと、歯の表面のエナメル質が徐々に薄くなっていきます。
エナメル質の厚みは人によって違いますが、2~3mmほどあります。ところが、これが薄くなってくると下の象牙質に刺激が伝わりやすくなり、知覚過敏を引き起こします。
神経に近いところまでエナメル質が剥がれてしまうと冷たいものだけでなく、温かいものまでがしみてくるようになるので、早めの対処が必要です。
人の噛む力は非常に強く、歯ぎしりによる力は強い人だと100キロといわれています。その影響は歯だけではなく、顎にも負荷をかけます。
顎関節症(がくかんせつしょう)は、口を開けようとすると顎がカクカクとなって痛みを感じ、開けにくくなることです。顎関節症は日本人に特に多く、後頭部の短い骨格が影響しているとされています。歯ぎしりは顎関節症を引き起こす原因のひとつです。
長い期間歯ぎしりをしていると、噛み合わせが悪くなる可能性があります。乱ぐい歯のようになっている場合は、歯ぎしりが原因になっていることも考えられます。
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マウスピースを使うことで、歯に加わる圧力を分散でき、当たったときの衝撃を和らげてくれます。
そのため、歯が欠けたり割れたりするのを防ぐことができます。また、同時に顎関節症の改善にもつながります。
マウスピースは大きく分けると3つあります。
・セルフタイプのマウスピース
・スポーツ用マウスピース
・睡眠時専用「ナイトガード」
ここでは歯ぎしりや食いしばりに効果がある、セルフタイプのマウスピースと睡眠時専用のナイトガードについて解説していきます。
セルフタイプのマウスピースとは、文字通り、自分で作るマウスピースのこと。
沸騰させたお湯で樹脂を温め、歯形を取ります。ネットショップなどでかんたんに手に入り、わざわざ歯科医院に行かなくても手軽にマウスピースが手に入ります。
ところが、専門的な知識を持っていない人が作ったマウスピースは、残念ながら歯ぎしりの治療としては使えません。噛み合わせのバランスが崩れてしまう可能性が高いので注意が必要です。
噛み合わせは繊細なもので、ほんの少しのズレが歯や顎に大きな負担を与えてしまいます。
このことから、セルフタイプのマウスピースは、歯ぎしりや食いしばりの治療としてはおすすめできません。
歯や顎への負担を軽減するナイトガードは、睡眠時専用のマウスピースです。寝ている間の歯ぎしり・食いしばりから歯や顎を守るために使われます。
このようにナイトガードを使うことで、あごの痛みや疲労の軽減にもつながります。
市販のナイトガードは付ける方法により、3つに分けられます。
・奥歯固定タイプ
人によって違いますが、一般的に食事時の噛む力は10kg程度。歯ぎしりや食いしばりは体重の2〜5倍がかかるといわれています。中でも奥歯は歯ぎしりや食いしばりで一番負担がかかる歯。
この奥歯を固定するタイプのナイトガードです。全体に付けるよりも自然な着け心地で、違和感も少なく、歯ぎしりやくいしばり対策には十分です。
・成型タイプ
自分の歯型に合わせて作れる成型タイプのナイトガード。歯全体を固定します。
・ハードタイプ
ハードタイプは、硬い樹脂で作られている成型不要のナイトガード。丈夫にできているので歯ぎしりや食いしばりで強い力がかかってもそうそう壊れることもありません。
歯を見れば、歯ぎしりや食いしばりをしているかどうかがわかります。ところが、明確な証拠があるにもかかわらず、本人には自覚がないため、「歯ぎしり・食いしばりをしていない」ということに。
ナイトガードを付けて傷や削れた跡があれば、歯ぎしり・食いしばりをしていることが証明できます。
歯ぎしりの治療にマウスピースが使われている理由は、このようにメリットが大きいからです。
ここからは、歯ぎしりの治療でマウスピースを使うことで得られる3つのメリットを解説します。
噛み合わせは変化します。偏った噛み方をしていたり、歯ぎしりや食いしばりで高い負荷により少しずつズレてしまいます。
そのため、歯ぎしりや食いしばりのクセがある人は、噛み合わせにも悪影響を与えている可能性が大。
しかし、噛み合わせの悪さは口だけでなく、顎をはじめ全身に悪影響を及ぼします。しかし、マウスピースを付けることで噛み合わせのズレを調整することができるようになります。
歯ぎしりは睡眠中に無意識で行われるものです。そのため、歯ぎしりしている本人には自覚がありません。まずは付けてみて、歯ぎしりしているのかどうかを確認することも大切です。
自分が歯ぎしりしていることがわかれば、何とかして止めたいと思うはず。マウスピースを装着することで噛み合わせが高くなり、歯ぎしり・食いしばりの力を弱めることができるとされています。
歯ぎしりや食いしばりの力は非常に強く、歯や顎に強い負荷がかかります。こすれることで、歯が削れるだけでなく、顎関節症や頭痛といった悪影響をもたらします。
マウスピースの役割は、上下の歯が噛み合う力を弱めることです。歯ぎしりや食いしばりで歯にかかる負荷は、体重の2〜5倍といわれていて体重が50kgなら100~250kgもかかる計算になります。食事時の噛む力は10kg程度ですから、少なく見てもその10倍。
その力が歯や顎にかかっているのですから、歯ぎしりや食いしばりが毎晩続けば歯が削れていくのは当然でしょう。マウスピースを装着すれば強い力で噛むことを防ぐことができるようになります。
歯ぎしりの治療に使うマウスピースにはメリットだけでなくデメリットもいくつかあります。ここからはデメリットを見ていきましょう。
歯ぎしりの治療に使用するマウスピースは、市販もあります。しかし、歯科医院で状態に合わせて製作したほうが安心です。
歯科医院では基本的に健康保険が適用されるので、3割負担であればマウスピース作成費用として約3,000円〜6,000円程度かかります。そのほか、初診料や再診料、検査料などが別途かかってきます。
また、歯科医院で、顎の筋肉の触診や関節の状態から顎関節症の症状が認められれば保険が適用されますが、認められない場合は保険適用外。予防としての夜間用マウスピースになり、10,000円ほどにハネ上がってしまいます。
一方、市販品のマウスピースは約600円〜3,000円ほど。ただし、自分で歯型にフィットさせる必要があります。これがうまくいかないと効果がないどころか痛みが出てしまう恐れもあります。
このように、マウスピース代だけを見ると、市販でも歯科医院でもさほど変わりませんが、コストがかかる面はデメリットと言えます。
マウスピースは、歯ぎしりや食いしばりにより、少しずつ削れていきます。さらに、装着時の噛み合わせも徐々にズレていくため、定期的なメンテナンスが必要です。
マウスピースは実は一度作ったらずっと使えるものではないのです。3〜4ヶ月に1回程度、作り替えが必要になります。
また、マウスピースを衛生的に使用するために、セルフメンテナンスが必要。しかし、煮沸消毒を行うと変形してしまう恐れがあるので、入れ歯洗浄剤などを使って消毒を行います。
マウスピースは付けるとどうしても圧迫感があります。そのため、中には寝ているうちにストレスから知らない間に外してしまう人もいます。
使い始めは違和感や不快感があるかもしれませんが、1週間から半月程度我慢すれば、少しずつマウスピースに慣れ、落ち着いてくるはずです。
歯ぎしりや食いしばりは、歯や顎に強い負担がかかるため、さまざまな悪影響を及ぼします。睡眠時に歯ぎしりや食いしばりがある人は、早めの対策を行ってください。
歯ぎしり治療として使用されるマウスピースは、コストや手間がかかるといったデメリットがありますが、長期化するほどダメージも大きくなります。
マウスピース装着で歯ぎしりや食いしばりを治すことは可能です。歯ぎしりや食いしばりで悩んでいる場合は、早めに歯科医院を受診し、専用のマウスピースを製作してもらいましょう。
今回は歯ぎしりや食いしばりを治すマウスピースについて詳しく解説しました。歯ぎしりや食いしばりを治すには歯科医院で作製するマウスピースがおすすめです。
マウスピースを作ってもらいたいと思ったら、ぜひ、WITH DENTAL CLINICへ相談してみましょう。無料カウンセリング予約も受け付けています。まずはホームページを見て、どのような施術が受けられるのかを確認してみてください。
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